深まる白秋に・自然の美しさを感じる心養われる子ども達

2004年11月

保育園の庭のなつめも、きんかんも、小鳥たちがついばんで、日に日に穴が大きくなっていく。子ども達は、もう青いうちからみんな味見をして「まだすっぱいね」と、口から出しては、熟れて食べごろになる日を待っている。青いなつめは「りんご味」。熟すと柔らかくて甘くなる。こうして果物を味わい、柿の葉っぱが紅葉して舞い散る中を駆け抜けながら子ども達は、四季のうつろいを全身で感じ、見つめている。

「自然の美しさを感じる心が育つことって本当に人生が豊かになることですね」
「青春は春。朱夏は夏。白秋は秋。玄冬は冬です」
「青春とは、人生のある期間ではなくて心の持ち方をさしているのです。若々しくて衰えない心」
「私たちも、生涯青春で生きたいですね」
「それを決めるのは自分自身ですし、自身の自在な心で決めるのですから」
久しぶりに逢った友人とこんな会話を交わしながら、とりどりの菊の香りと山茶花に包まれ、白秋を散策した。

夕暮れて空一面のうろこ雲があかね色に染まって、昨日子ども達と見た空を思い出した。本館のリス組さんの女の子が私をひっぱって、空を指し
「雲がきれい」
「わー、きれいなうろこ雲」
まだ言葉も出ない幼い子ども達が、心に感じる自然がどんなに美しいことか、一緒に見上げた瞳のきれいさに、ため息が出るほど感動した。

ドリーム館の子ども達は、息を切らして走り回っていたのに、ふと足を止めると
「先生見てみて、飛行機雲だよ」
みんなが集まってうろこ雲の中を飛んで行く飛行機を眺めた。
「これはうろこ雲、秋の雲よ。お魚のうろこに似ているでしょう」
「うろこ雲かー」
歌う様に言いながらいつまでも機影を追った。この庭の中の白秋もやがて迎える玄冬への準備を始めている。じっと蓄えて青春の春の日を待つ準備だ。

子ども達の成長も目まぐるしいほどに早い。這い這いだった赤ちゃんが、両手を出して「だっこ」をせがむようになり、順番を待って顔を出したり引っ込めたりしている姿、新しく入った赤ちゃんをいとおしそうに見つめている可愛さは格別である。

言葉数が急に増えて「上っちゃいけないね」と自分で言いながら机に上ったり降りたりしているリス組さん。「今お話していたのはだーれ?この間まで何もお話できなかったのに」とびっくり。「おかわり、おかわり」とすごい食欲は際限もないほどで欠席児無しがうなずけます。まさに食欲の秋の健康児。2・3・4・5歳児のドリーム館の子ども達も、欠席児無しが続く。
「原保育園の子ども達も保育士もみんな青春なのだ」と、小春日和のつづく白秋に想った。

 

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