親のうしろすがた
  卒園式と「卒園文集」に思う

2004年3月

涙と感動とにつつまれた卒園式は、三月十三日(土曜日)にキリン組の大広間で行われました。
産休あけから入園して6年9ヶ月と言う長い保育園生活を送ったお子さんもいて、お一人お一人の月日の重なりの思い出の中で、お父さんお母さんの大変さと頑張りを思いながら、涙があふれてしまいました。

雨風の日、顔も手もご自分はびしょぬれで、顔に髪の毛が張り付いて居ても赤ちゃんは、背中で気持ちよさそうに眠っていました。病気で入院したり、熱を出したり下痢嘔吐にみまわれたり、でも仕事ですぐには迎えに帰れず、そのたびにお父さんお母さんはどんな思いだった事でしょう。

子育てしながら働く事の厳しさを、毎日、一緒に味わいながら生活している私には、みんなの気持ちが痛いほどわかるのです。「ごめんね、まだお母さん帰れなさそう。もう少しお昼寝起きまでおねがいね」私は保育士に頼み、状況にあわせてヒエピタを貼り、水枕の調節、水分の種類や与え方の指示をし、体温の計測情況の変化を聞き、体調の変化に注意しながら、悪くならないように祈る心で帰りを待ちます。こうして一日の終りは、「子ども達も、保育士もお父さんお母さんもみんな頑張ってくれて本当に有難う」と、みんなへの感謝の気持ちばかりです。

給食をもりもり食べ元気いっぱいの子ども達と過ごす日日から新しい希望と情熱が生まれます。この日常のなかで迎えた卒園式は父母との一体感の中で感無量でした。子ども達はどこまでも明るく無邪気に喜びと感謝を現し、緊張感の中にも小学校へ行く期待に胸をふくらませながら一時間の式を終えました。

当日、卒園文集をいただきました。その夜繰り返し読み進みながら、胸がつまってしまいました。私の想像もしていなかった凄まじい生き様にぶつかり考え続けて眠れないまま、同じ思いの新しいお母さん達にも是非読ませて頂きたいと思いました。

今、お父さんお母さんは、どんな働き方でしょうか。終電車で帰り、眠っている子にほほずりをして、話も出来ずのお父さん。皆さんの壮絶な過酷な働きの中に日本の社会、経済、暮らしが成り立っているのだとひしひしと感じます。

だからこそ原保育園は心温まるオアシスでありたい。会社から帰ったに時にほっと息の出来る家庭であり続けたいのです。卒園生のみなさんはいつでも「ただいま」と帰って来てください。その時きっとここですごした月日とご両親の後姿を感謝で思い出すでしょう。

 

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