・・・子育ての「夢」を追い続けて29年
  子ども達の無限の可能性を信じて・・・

2000年12月

子ども達は、「未来からの使者」。私は子育てに大きな「誇りと、歓びと、責任」を感じながら創立以来29年を過ごして参りました。そして眼前に20世紀の最終章を迎えようとしています。

原保育園は今、4半世紀を越える歴史の中で、素晴らしい伝統を築いて来たと実感しています。それは、素敵な子ども達が育っている日々の生活の中に溢れる歓びが有るからです。

子ども達を取りまく環境が、年々厳しくなって参りました。「長い人生の土台を築く」幼児期の保育環境ほど大切なものはありません。この数年の間に、乳幼児の保育環境は、最悪な方向へと変わりました。

「子どもの権利条約」が出来、少子化時代と言われ、こども達が大切にされて光があたるものと期待していた矢先、親の利便性ばかりを優先させて、大切な保育環境を雑踏の駅前へ、「駅型保育」と称して、移動させてしまいました。取り返しのつかない100年の失策保育行政の中で、何の規制もないままに産業化した「駅型保育」は始まり、とうとう信じられない惨劇は起きてしまいました。

選択も出来ず、物言わぬ幼子達は、大人達に猛省を促し、未来への警鐘をならして、傷つき命を奪われていったのです。親の利便より我が子の健やかな成長を願う「親の意識」こそ大切です。現在の終着駅が、今も続く「得体の知れない恐ろしい17歳問題」の危険性をはらんでいないことを祈ります。

「子どもとの最高のコミュニケーションの場でした」と6年間、10年間も、遠くから送り迎えして下さっている父母、保育園の近くへ引っ越してまで来て下さった皆さん。原保育園の子ども達は、緑に囲まれ季節の果物の実りを手にとって食べながら、素敵な職員、父母祖父母の愛の中で、心豊かに感性を養い、温かい優しさに満たされて成長してきました。私の29年間は、ひたすら子ども達の無限の可能性を信じて「子育ての夢」を追い続けた幸せな日々でした。

悲惨な戦争と原爆をかいくぐった20世紀。21世紀は世界中の子ども達が、「平和で心豊かに育つ世紀であって欲しい」と切なる祈りを込めて、2000年に『さようなら』。

 

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